頭が痛い原因は脳にあるとは限りません!首から上の骨、皮膚、筋肉なども含めて頭痛の原因は多々あります。頭痛は生命に関わる疾患のサインの可能性もあるため、その徴候を見逃さないことが大切です
頭がいたい!原因を推測し緊急度を見抜く!!
1、痛くなったのはいつ、どういう時か
突然痛くなったのか?
痛くなる前から何か前兆があったのか
2、どんな痛みなのか
ズキズキと響くような痛み(拍動性の痛み)
3、痛みの強さはどれくらいか
今までに経験したことがないような痛みなのか
我慢できる痛みなのか
4、頭のどの部分が痛むのか
頭全体が痛むのか、一部分だけが痛いのか
痛みが頭以外にも広がっているのか
5、痛みの持続時間、経過、頻度はどのくらいか
どのくらい痛みが続くのか
痛みの起こる頻度はどれくらいか
6、他に具合の悪いところはないか
吐き気や嘔吐はないか
発熱はないか
7、姿勢によって痛みが強くなったりしないか
首を起こそうとすると痛みがでないか
「頭がいたい」から考えられる緊急性の高い疾患
「頭がいたい」という訴えから考えられる緊急性の高い疾患は・・
くも膜下出血、髄膜炎、脳出血があります。
いずれも頻度としては多くはないですが、見逃すと患者の生命に関わります
頭が痛い!から考えられる疾患は?
1、突然起こる痛み
・くも膜下出血、脳出血などの脳血管障害の可能性(緊急性の高いものが多い)
・脳腫瘍(徐々に増悪する)
・偏頭痛(目の前が暗くなる、目の前が星がチカチカするなどの前兆あり)
2、拍動性の痛み
偏頭痛、側頭動脈炎(こめかみの圧痛)など
3、経験したことのないような痛み
くも膜下出血(突然ハンマーで殴られたような強い痛み)、脳出血など
4、頭全体の痛み
くも膜下出血、脳出血、髄膜炎などの場合は部位を特定せず頭全体が痛みます
後頭部痛:筋緊張性頭痛(首や肩の筋肉痛)など
眼の奥、眼の周囲:緑内障など
こめかみ:側頭動脈炎
5、周期的な痛み
群発頭痛
食事や会話で誘発される:三叉神経痛
6、吐き気や嘔吐
偏頭痛、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎などによる頭蓋内圧亢進の可能性
発熱:髄膜炎の疑い
7、首を起こそうとすると痛い(あごが首につけられない)
激しい頭痛を伴う場合は、頭蓋内圧亢進によつ頸部硬直の可能性
頭蓋内圧亢進は緊急事態!!
頭蓋内圧亢進とは、くも膜下出血や髄膜炎などにより脳内に血液や髄液が溜まることで脳実質の容積が膨らみ、頭蓋内の圧力が高まった状態です。圧力が亢進すると膨張した脳は行き場を失い脳幹の方に飛び出してきます。これが脳ヘルニアです。ここまで悪化すると回復が難しくなります。
頭蓋内圧の徴候にいち早く気がつくことは、患者さんの生命に直接かかわることなのです
失明にもつながる危険な頭痛
緑内障は失明することもあり注意が必要です。眼圧が上がり眼球が硬く張ってしまうため、眼の周辺が締めつけられるような痛みを感じます。また、こめかみ部分にズキズキという拍動性の圧痛がある側頭動脈炎も眼に直接つながる血管の障害によるものなので、失明につながることがあります。
「頭がいたい」緊急度の高い疾患 まとめ
脳の疾患には脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、くも膜下出血など緊急性の高い疾患がたくさんあります。問診、観察、バイタルサインなどで緊急度を見抜けるようにしましょう。
モニターよりも自分の五感を活用する
ハートレートモニターやサチュレーションモニターはとても便利ですが、ちょっと視線を患者に向ければ様子がわかります。モニターを漠然と使っていると大切なサインを見逃すこともあります。そのモニターが何を示しているのか、本当に必要なものなのか、一度見直して見ましょう
ハートレートが「60」を示しているのに脈拍を測ったら「50」しかない場合、自分が数え間違えたと考えがちです。しかし、ハートレートが示すものは心拍数であり、脈拍数とは別のものです。心臓が動いていても、最終的に有効な脈とならずに身体の隅々まで必要な血液を届けるのに支障があれば、身体としては「苦しい」状態です。患者さんの循環状態を示す、より本質的な情報は、心拍数より脈拍数です
本来同じであるはずの心拍数や脈拍数に違いがあった場合、心室性期外収縮などの不整脈の可能性も考えて患者さんの状態を確認し、モニターで「60あるから」と放置していたら危険なサインを見逃してしまいます
わたしたちが診ているのは機械の数字ではなく患者の姿です
頭が痛いって言ってたけど大丈夫そうだ
時間が経ったら治ったから心配しなくていいか
そのような観察では緊急度の高い頭痛はあっさりと見逃されてしまいます
頭痛に関しては、症状や兆候から原因を推測し緊急度を見抜く力が必要です